パリから帰ってきた友人が、隔離されているのが両国のホテルで。
送られた来た写真の窓の下には、隅田川やら東京慰霊塔やら旧安田庭園やら。

それらが晴れた空に浮かぶ景色は、この世のものとは思えない美しさ。

東京慰霊塔は、関東大震災と東京大空襲の犠牲者の祀ってあるもので、このあたりには、さまざまな魂たちが眠っているのだ。


そんな時代のことを思えば、今のこれしきのことと、少しは元気も出てくる。気がする。


「今の時代はいいわよ」と母親も言う。
あたしたちの頃は散々だった、と言う。
「小学校から支那事変だもの」

その時代を思えば、そうだ、これしきの事とまた思う。


でも、どうも良くない。

歌舞伎座も千秋楽を待たず閉じた。
やっと手に入れた「桜姫」のチケットなのに。

でも、寄席は閉じない。
笑いは「社会生活に必要なもの」として、通常営業を宣言した。

音楽はどうだ、芝居はどうだ。

必要です。
と思っても、まずお客さんが来られない。
(配信は、やはり別物だ)


お客さまが来てこそ成り立つ職業。
思えば、みんなそうだ。


ココロの体勢を懸命に立て直そうとしているけど、どうもふうふうしている。
息切れしている。


このまま、両親の介護だけで一生終わるのかなあと、ふと思う。
まあ、それはそれでいい気もしてきた。

いや、いかんだろう。

と、また自分にカツをいれる。

ああ、とりとめない。
三度目の緊急事態宣言初日の朝。