本の熟成進む。

「あ。これもう切れてますね、新しく登録しましょう」
図書館の受付の女性が、私の登録カードを見て言う。

そういえば。
図書館に来たのも久しぶり。
老親のこともあって、なかなか通う時間と体力がなくなり。
そこにもってきて、コロナ。

いまもって、人の触った本は大丈夫なのかと、不安。

そこで、ネットで調べると。
ウィルスは三日で消える、つまり死んでしまう。
なので、ダイジョウブです。
と、図書館広報にある。


ならば。

とことこ出かける。

ああ、ほんと久しぶりだなあ。
この本の匂い、図書館の香り。

来ている人は、そんなに変わらない。
ホームレスであろう人がいるのも同じ。
寒さ暑さを、ここでしのぐ人のオアシスにもなっている。
図書館は、そういうところであっていい。

とは思っても、なるべく早く出ようと思い、二冊手に取る。


そして、再登録をし、帰ってきたものの、やはり念のため、三日置いておくことにした。

本の熟成のようだ。

そろそろ美味しくなっているに違いない。