クリスマスなんてカンケーねえや。
なんて思ってたけど。

前日、不二家さんの前に、人が列を作っているのを見て、胸がじんとした。
例年、こんなふうだったかどうかわからない。
わからないのに、その「人の列」に感動してしまった。

人の営み。
これがすべて禁忌すべきものとして、がまんしてきたこの約一年。

人と会って、ああ久しぶりと肩を抱いたり、ハグしたり、ご飯食べたり、お酒飲んだり、つまんないことで大笑いしたり、一緒に歌唄ったり。



だからよけいに。

街角の、クリスマスケーキを求める人の列に、じんとしてしまうのだろう。

私たちが失ってしまった、失わされてしまった「普通の日々」がそこにちゃんと生きているようで、じんとしてしまうのだろう。



どっこい、まだまだ私たちはがんばってるぞ。


そうだ、私も。
昨日、昼間、近くのケーキ屋さんで苺のショートケーキを三つ買った。

昼食のあと、老親二人にその可愛いケーキを見せると。
あらあらあれあれと、喜んで食べた。


その昔は、バターケーキとアイスクリームケーキの二種類を、会社帰りに買ってきてくれた父親は、すでに立派な老人になっている。
父がそのことを今、覚えているかどうか。


まあ、そんなふうに半世紀はあっという間に過ぎるのだろうな。

だから。
この厳しくツラい時代も、きっとあっという間に過ぎる。
後から思えば、あっという間だったと思いたい。
そう、思いたい。


イギリスからの変異したウィルスが入ってきたというニュースに、また一段と暗くなる心に、灯をつけたい。
そうさ、もうちょっと我慢すれば、みんな思い出になるんだと。


今日はこれから大阪に参ります。
新幹線に乗るのも、二月以来。

芳雄さんとのディナーショーの最後です。
希望をたくさん歌に込め、務めてまいります。