ひええ、なんだってこんなに感染者が増えるんだあ。
と、がっくりしながら、リハーサルに向かう。

スタジオに入ると。
仕事は実に9カ月ぶりだというスタッフもいて。
音響や照明や舞台監督など「裏方」というくくりで表される方々の、苦悩がひしひし伝わる。


もちろんミュージシャンも同じで、自分で「配信」など計画して活動をするけれど、だれもみなタイヘンなのだった。


配信。
若い方々なら、おそらく難なく受けいれやすい手段なのだろうけど、私も含め、中高年者はムズカシイ。
クレジットカードでさえ、嫌がる人もたくさんいる。

いや、かくいう私も、ナニカシラを注文して、カード情報の項目になったとたん、ああやっぱり止めた、と接続を切ってしまうことが多い。
(Amazonでしか買ってないなあ)

だけど。
いったいどうなるんだろう。


お昼休憩をしながら、ちょっとおしゃべりをする。

私たちってさあ、まあ一般的には「好きなことやって生きてる」人たちだからさあ、こんな受難があっても、しょうがないと受けいれよう。
こんな未曾有の時代を経験できたことが、まだまだ若いみんなには、きっと得難い経験になるよ。
ほんとに、まだまだ先があるんだから。

と、この先がそうないような私だけど、せめて若い人たちには、なんとか元気でいてもらいたい、希望をもってもらいたい。

アリとキリギリスのことが、またアタマに浮かぶ。
好きな音楽やお芝居に関わって、生きてきたキリギリスのような私たち。
それはライブハウスや劇場でも。
それが、もうだんだんモタナクなってきている。

できる限りの支援を受けても、モタナクなってきている。


家賃が払えなくなるからと、鎌倉の山の中に引っ越した音響のNさん。
あ、カラオケ録るのしくじりました、と叫ぶ。

まさかの失態。
この人にしてこんなこともあるんだ、やっぱりカン鈍ってるねえと笑うしかない。


あと一週間でコンサート。
自分のなすべきことを粛々とする以外、ない。

ただただコロナに気を付け、毎日を過ごす以外、ない。

夜明け前が一番暗い。そのことを思うしかない。