コロナのせいか。
庭木の剪定、手入れができなくなっている家が多い。

私の部屋の前の樹も、前の家の庭木も、伸び放題。


いつも夏にはすっきり刈られ、さっぱりと秋になるはずが、ぼうぼうしている。


それは他人事じゃあなかった。

老親の家の庭の、多くの鉢植えもまた。


少し前ならまだ地力のあった父親も、最近はすっかりへばっているので、手入れができない。

台風が近づく予想に、ちょっくら片づけようとハサミを手に片づけ始めたら、いやはやなんとも。

鉢植えのはずが、奥のほうのやつなど、すっかり根を伸ばし、動かせない。
いやだいやだ、ここにいるんだ。と自己主張されているような抵抗感。

んなもんに負けてたまるか、強制執行だああ。
と、強引に引っ張る。

中には、根が腐っているものもあったり、いったいこの鉢の主は誰だと思うように、いろんな植物がごったになっていたり。
もう、ぜえんぶ、引っこ抜く。

この植物との仁義なき闘いに、爪まで真っ黒。
汗だく。


植物の生命力はオソロシイほどだ。

昔、「ロビンソンの庭」って映画があって、植物がどんどん増殖していっていつしかニンゲンを飲み込んでいくみたいな話だったと思うけど、そりゃあコワかった。

植物にかかったらニンゲンなんて、ナニモノでもないんだろうなあ。



父さんは衰え、もう鉢植えさえ制御できない。
娘は、もうぜんぶ業者にもっていってもらうことを考えている。

土。って捨てられないんだもの。
土に戻したくても、そんな土の場所なんてもうないんだもの。


土は、ゴミ収集には出さないでくださいね。
不燃ごみでも、再生ごみでもないんですからね。
じゃあ、いったい土はどうするの。

原っぱだらけだった子供の頃。
そんな心配はなかったなあ。
走って転べば土。
おままごとしても、ご飯が土。
お味噌汁も土に水いれたもの。


どうする土。

衰えつつあるニンゲンを尻目に、植物の進軍は続く。
うううううう。

あ。こんなこと言ってる場合じゃない。
これから父さんの病院だ。

ニンゲンは、こうしていつもあたふたしてる。