不眠症からの脱出をはかり。
あの手この手を探り。

こうすればいいとかなんとか、そういうのをネットで見ていても、どれも既視感。
もう知ってるよ、そういうの。ばかりになってきた。
こちらの不眠症にも年季が入ってる。


ところが。
Amazonでうろうろしてると、ナントカいうちっちゃい器械発見。
いや、器械というほどのものじゃなく、小型スピーカー。

そこからいろんな音が出るという。
隣人の騒音にも対処できる、音で音を制するという、これまたナントカいう仕組みとか。
眠りを誘う音とか。

ひゃあ、おもしろい。

値段も安い。
赤ちゃんや若い外国人女性が、枕もとにそれを置いて、ぐっすり寝ている写真につられ、購入ボタンをプチ。


それが昨日届いた。

やってみた。

波の音、虫の声、時計のかちかち、電車の音、オルゴール、さまざま。

寝ながらあれこれやってみる。
これはどうだ、これはどうだ。
そのうち、すっかり目が冴えて、ごそごそ睡眠薬を飲んだ。


なんだこれ。

でもまだ、失敗とは限らない。
今夜だってある。


しかし、一つだけヤバい音が。
それが、心臓音。
どくんどくんとけっこう立体的な音。
子宮の赤ちゃんが聞く母親の心臓音、おすすめの音らしいが。

流れた途端、ぞわっとした。
この音には聞き覚えがある。
(もちろん赤ちゃんの時ではなく)


ずっと前、大阪の由緒ある古いホテルで。
枕に耳を付けた途端、聞こえてきた音。
途中で、がたあああんと何かが倒れる音も混じる。

地下鉄の工事の音かと、耳栓を求めてフロントに聞くも、話が通じない。
この部屋だけの音らしい。

このホテル、今は取り壊されてしまったが、私の泊まった階は、なかなかに神秘的というか霊的というか、ようするにコワいよおで有名な階だった。



その音との再会。

霊的なことは、あっちもこっちもおんなじさ、むこうのお友達くらいに日ごろから思ってるけど、寝るときはちょっとカンベンだ。

でも、あの音、胎内音だったんだ。

もしかして、ホテル特製安眠枕セットだったのかなあ。
まさかなあ。


もう、すべて闇の中です。