起きた。
枕もとの時計を見ると8時前。

ざざと計算すると、8時間以上寝ていたことになる。
トイレにも行かず、ぐっすり寝ていたことになる。

おおおおお。
こんな幸せは、年に何回あるか。
一回か二回か。


このところ、不眠症の私でも、ちょっとコタエる不眠具合だった。

クスリを飲んでも、眠れない。
増量したくないので、起きる。
眠くなる。
横になる。
すると目が冴える。
また起きる。

この繰り返し。

4時くらいになるとさすがに、眠る。

だからといって、翌日、それほどシンドイかといえばそうでもない。
少なくとも、親の世話くらいなら、難なくできる。


信じられませんねえ、そんなに眠れないなんて。
と、よく眠る人は言う。
それが若い人だと、「いやいや、あたしだって、若い頃はコロンと寝てたよ、だからわからんよ、先のことは」と脅す。

母親のように、92年間、横になった途端に意識がなくなる人には、不眠の話題はしない。
不眠症と、そうでない人との間には、深くて暗い大きな河が横たわっている。
理解してもらえることは、きっと、ない。


しかし。
8時間も寝たあとの、この幸せ。
すごく得した気分。

たくさん寝ると、その時間がもったいないという人もいるが、私は、できるだけ寝たい。
たくさん寝ているうちに、一生が終わればいいとさえ思う。

夢うつつで一生が終わるなら、それでいい。
何かを「成し遂げる」ことなど、どうでもいい。


今日は暑い。
この夏、最高の暑さになりそうだ。


でもダイジョウブ。
私、8時間寝ましたから。
コワいもんなしです。

さ。
行ってきますっ。