昨日夕方。

念願通り、Tシャツ二枚と麻パンツと靴下と、ついでにパジャマまで買った。

もう、なんでもいいですわ、な状態で、買い物ができることの幸せに、ほんとに、普通って普通のことじゃあないんだなあ。

距離をとりながら、レジにできた長い列に並びながら、しみじみ思う。

 

いい匂いの石鹸をと、売り場に行くと。

あ。ない。

ラベンダーとかレモンとか、そんないい香りのするものが、まったくない。

こんなことって初めて。

 

胸がいっぱいになった。

みんな思うことっておんなじなんだ。

 

 

普通って普通じゃない。また思った。

 

 

家に戻りテレビをつけると。

横田滋さんの訃報。

 

お会いしたことなどないのに、涙が溢れてくる。

一切の思いを、穏やかな微笑みに変え、でも、めぐみさんの遺骨だという知らせを受けた時の、むせながらの、あの涙。

あんな悲しく悔しい涙を、初めて見た。

 

そして、晩年のお姿。

私の父親のような歩き方で、早紀江さんに手を取られて。

 

もうそのすべてに、涙が流れてしまう。

 

ただ普通の家庭であったはずなのに、それだけを願ったのに、それが叶わなかったこと。

 

ああ。

普通であることって、なんてスゴイことなんだろう。

 

 

自粛くらいで、がたがた言ってた自分が情けない。

この方たちに流れた、今も流れ続ける過酷な時間を思うと、恥ずかしい。

 

ご冥福を。なんて言葉さえ失礼に思える。

どうしたらいいんだろう。どう言ったらいいんだろう。どう祈ったらいいんだろう。

 

 

拉致事件は何も終わってない。

 

どうすればいいんだろう。

なにができるんだろう。

今。

 

滋さんの涙に報いるために。