コロナによって、外国にいた日本人も帰れなくなった人もいるし。
その反対に、日本にいて、自国に帰れなくなった人もいる。
そんな人のことをテレビで取材してて。
浅草の小さなカプセルホテルみたいな宿に滞在する女性のことが。
ウクライナのその女性は、手持ちの現金はもうなく、カード払いで日々をしのぐのだけど、お弁当やさんなんかだと、現金払い。
同宿の人に助けてもらいながら、美味しい美味しいとその弁当を食べる。
ウクライナ。
私は数年前にチェルノブイリの取材ロケで二回行っている。
首都キエフは、首都なのに、道がガタガタ、傷んだところを修復する気配もない。
したくてもできない。
GDPがマイナス17パーセントとか言っていた記憶がある。
プラス何パーセントしか聞いたことないよなあという、恵まれた日本の私は、マイナスってのがこういうことなのだと、知った。
(で、今この国は、まさにそのマイナスなのだなあ)
すべてのインフラをきちんと回すには経済なのだなあ。
と、経済にはまったく弱い私でさえ、身に沁みた。
で。
そのウクライナの女性に、ある日、書留が届く。
日本人女性からだ。
お手紙やらと一緒に五万円が入っている。
なんで私に。と感激するウクライナ女性に、その日本人女性は。
「自分の息子が今外国にいます。いつ帰ってくるかわかりません。きっとそこでも、いろんな人のお世話になっているはずです。だから、私があなたにすることは息子にすることと同じです。回り回って息子を助けることなのです」
そうか、そうなんだなあ。
コロナというウィルスが世界中を一気に飛び越えたように、人の善意、心だって飛び越えないわけがない。
世界を股にかけるものが、人の心じゃなかったら、ウィルスに負けちゃう。
同宿していたロシアの人には、国からチャーター便が出て帰国できることになったけど、ウクライナにそんなもんが出る余裕はないだろうなあ、と思った。
だから、この人はいつ帰れるかわからない。
母国語で話せる人もいないので、その胸の内を思うと、気の毒で仕方ない。
自分がもしそうなったら、と思うと苦しくなる。
でも、この人は明るい。
明るくしている。
宿の人たちも、赤字続きの中、見守るように経営を続ける。
早く、安全に国同士が行き来できる日がきますように。
ちょっと前まで当たり前だったことを、今は祈るしかない。
それにしても。
くっそお。コロナのヤツ。
(何十回言ってることやら)