「報道ステーション」の富川さんが新コロナに感染したという。
こういう立場の人が感染するくらいだから、いかにもう身近に危険が迫ってきているかの証拠だ。
無事一日を過ごせたら、それを感謝したいくらいの気持ち。
とはいえ、どこでどう敵と遭遇するやもしれぬ。
まさに戦場だ。
富川さんは、かれこれ20年近く前、その頃彼が担当していた夕方の番組で、私を取材してくれたことがある。
私の唄う「わが麗しき恋物語」という歌が、ちまたの涙を誘うということで、生まれて初めてインタビューを受けた。
その頃はインタビュー慣れをしていなかったので、アタマがとっちらかって、「ツボ」を押さえた話ができなかった。
思えば、それからお会いしていない。
富川がよろしくって言ってました、と人づてに聞くことはあっても、今や局を代表するアナウンサー。さぞや忙しいことだろうと思っていた。
なぜ、彼はすぐPCR検査ができるんだというネットでの非難も聞く。
それは、先だっての野球選手の場合も。
本当は当たり前のことなのだ。
具合が悪いから検査する。
そのことがままならぬ現状だから、人はいら立つ。
かけてもかけてもつながらない電話。
たらい回しされているうち何が何だかわからなくなる状況。
その中で力尽きていく尊厳。
少しでも自分で自分のココロを守ろうと、音楽をする人たちは、配信を始めた。
リレーのようにしていく人も多い。
さあて、私は。と思って。
ピアノもずいぶん弾いてないし、髪もぼさぼさだし、一人でスマホで撮れるか。自信なし。しゅん。
でも唄いたい歌はこれ。
「広い河の岸辺」
このいつ終わるともないわからない今は、まったく広い河のようだ。
あっちへ渡れるのか。どうしたら渡れるのか。わからない。
でも、小さな舟を出そう。希望の舟を出そう。
この歌、だてに340年も昔から唄われてきたんじゃない。
スコットランドから世界中をめぐり、日本にもやってきたのは、みんなが、それぞれ絶望の時を泳いでいるからなんだろう。
唄おう。
いつか。
また。