やっぱり「相棒」っていうドラマは大したもんだなあと思う。
昨日のスペシャル版で、また納得した。
脚本はもちろん、出演者の熱量が違う。
おおざっぱな言い方をすると、お金のかけ方が違う。
そうはいっても、実は、今の四代目の相棒氏になってから、見ることが減っていた。
初めの頃は、もう画面を正視できなくて、すぐチャンネルを変えた。
ファンのかたには申し訳ないけど、この方は、この人物をどうとらえ演じていいのかまったくわからないのだろうなあ、と思えた。
だから、ムダな仕草や意味不明な「間」ができてしまう。
でも、ここ最近また見るようになった。
見られるようになった。
四代目の相棒氏も、自然体になってきた。
無理な作り方がなくなってきた。
そうはいっても、このドラマに水谷豊という人がいなかったらどうなるのだろう。
と、また思った。
この人が、有り余るような引き出しの深さで、知性、偏屈、ユーモア。そんなあれこれでドラマをぐんぐん引っ張っていく。
この人がいなかったら、まったく成り立たない。
まさに「はまり役」。
すごいもんだなあ。
昨日は、設定がまさに「今」。
うちの母親のような年齢のファンには、おそらく理解不能なあれこれはあるけど、そこはそこ、全国区のドラマならではの展開と役者の上手さで、なんとなくわかった気にさせていく。面白がらせてくれる。
視聴者を置いてきぼりさせない。
このあたりも見事だ。
誰にもフィットさせながら、決して古くならない。
これは本当にムズカシイことだ。
昨日は、相棒の部屋での長回しがあって、サイバーセキュリテイーのアオキ君との三人とのやりとりは、誰一人動きやセリフを間違えられない緊張感に満ちていた。
こういう「攻め」をやってくれるんだなあ。このドラマは。
(でも一つ注文。このアオキ君を、おもちゃみたいにぱしぱし叩いたりするのは止めてほしいなあ)
水谷さんの影響もあるのだろうが、役者さんたちの熱量はホントに高い。
私はこういうニンゲンなのだという自己主張が、キッチリ見える。
それがエンタメになる。
昨日は、官房長官も出てきて、「官邸」の大きな圧力を見せた。
ぞわっとした。
肌感覚でぞわっとした。
権力って、やっぱり、すごく、怖い。
おりしも。
森友問題で自殺した、近畿財務局の職員のかたの遺書が発表された。
上からの圧力で、壊れていく心。
人としての良心。
死を前に。
「怖い」と書かれた自筆の文字が、そこだけ浮かび上がってくるようだった。