高校時代の友人と会う。
10年以上のご無沙汰。
彼女の夫も一緒で、彼とはもうなんだかんだ25年ぶりくらいだろう。
彼はなかなか腕のいい弁護士で、大学在学中に司法試験を通ったくらいのツワモノだ。
友人とその夫が結婚するときのあれやこれやや、子供が生まれるときのあれやこれやや、そのあとのあれやこれやや、そんないろんなあれやこれやがどわっと思い出される。
そして今では、やはり相応に歳を重ねた二人が前にいる。
誰と人生を共にするか。
そしてその選択は正しかったかどうか。
そんなことわからない。
わかってるのは、時計は巻き戻せないってことだ。
誰かと重ねた時間の重なりは、ニンゲンミルフィーユだ。
一枚一枚丁寧に重ねた生地が、えもいわれぬ味を作る。
あれ、ちょっとしくじったかなあという一枚も、重ねてしまえば、隠し味にもなる。
そして、このニンゲンミルフィーユの味は、一つ一つみな違う。
みんな違って、みんな美味い。
そうだ、どんなものでも、みんな美味いのだ。
「ねえ、今度さあ、法廷ツアーさせてよ」
映画とかドラマでしか見たことのない法廷ってものを、ぜひとも見てみたい。
ニンゲンてのは、一色じゃないんだよね。
どんな事件でも、一色じゃない。
良いことと悪いことの差は、目を凝らしてもなお、わかりにくい。
それはニンゲンてのものが、それだけフクザツにできているってことだ。
これだから、ニンゲンミルフィーユが美味しくなるのは当たり前だ。
みんな違ってみな美味い。
まさしく。