恒例の年末5時間スペシャル「人生歌がある~日本の歌 世界の歌」。
もちろん生放送。
私たち歌い手はともかく、一番タイヘンなのは、スタッフとバンドメンバーだろう。
その労力に、頭が下がる。
時間ピッタリに終わらねばならないから、アクシデントを起こしてはいけない。
練りに練った工程の上に、私たち歌い手は最良の状態で唄わせていただく。
本当にありがたいことだ。
今回。
うたごえ祭典でご一緒したベイビーブーさんと、また「広い河の岸辺」をご一緒した。
もうなんていうか、どんどん声が重なって、声の河に浮かんでいるような。
そうだなあ、まるでハムレットのオフィーリアが河に浮かんで流れていくような恍惚感というか。
アカペラだけのコーラスでは、もうまったくそんな感じだった。
オフィーリアといえば、樹木希林さんの、「死ぬときくらい好きにさせてよ」というコピーで、川を流れる少女のような老婆のような広告写真があった。
人の栄枯盛衰。
カラダを持つものの、歌い手のしての有り様。
若い歌い手さんや、大先輩の方々や、そんな皆さんの唄う姿を見ながら、まるで歌い手の大河ドラマのようだなあと思った。
人生、時の流れが、見えてくるのだ。
だから。だから。
自分はどうこれから唄っていくのか。どう生きていくのか。
胸に様々な想いが去来した。
なんだかとっても良い時間を皆さんとご一緒したなあ。
そう思って、家に帰ると。
アフガニスタンで活躍されたいた医師中村哲さんが、殺されていた。
この方を、ずっとずっと尊敬していた。
こういうかたがいるから、まだまだ世界はダイジョウブなんだと、心の支えにもしていた中村さん。
ああ、河はやっぱり広すぎる。
でも、中村さんは言うだろう。
渡れますよ、どんなに広く深くても。
そうなんですか、中村さん。
ほんとにそうなんですか。
小舟はいつか、河を渡れるんですか。
ただ。
胸がいたい。
悲しい。悲しすぎる。