この夏、二度目の北千住。
北千住、といっても、東京近郊にお住まいの方以外には、よくわからないだろう。
千住の宿として、あの松尾芭蕉が「奥の細道」の出発をしたところ。東京の東だ。
結婚するまで埼玉の越谷に住んでいたこともあって、そうすると当然、この北千住を通る。
昔は、それこそ寒風吹きさらしのホームから、「キャバレーハリウッド」の建物が白黒映画のように見えて、都心より明らかにぐんと寒かった。
何十年ぶりの北千住は、どんどん大きくなっていて、劇場もある。
そのリハーサル室に通ったのだけど。
そこへ行くまでのマルイ店内は、家族連れでいっぱい。
エレベーターには「優先エレベーター」があって、ベビーカーもいっぱい。
赤ちゃんや子供がわんわんいっぱいで、私の生活圏では見られない光景だ。
昔のこれからっていう勢いのあった日本を思い出す。
どんどん子供が生まれて、家族だらけの日本。
そうだった、忘れてたなあ。こういう風景。
どっちかいうと年寄りばかり(もはや自分も)の街に慣れてしまっていた。
ずいぶんと違うもんだなあ、同じ東京といっても。
などと、感慨無量で、タンゴのリハーサル三曲。
「クミコさんの歌って、声出したところから意志が見えますね」と、言われ、なんだかうれしい。
ほめられると、やっぱりいつでもうれしい。
(「泣いちゃいました私たち」とも言われ、やっぱりうれしい。とってもうれしい)
まあ、結局なんでも「意志」なんだろうけど、そうだなあ、こうして今は単身で生きていることも、意志といえば意志なのかなあ。
あのまま結婚してたら、今頃どんな歌唄ってたのかなあ。
など思いつつ、下の階の、東急ハンス夏の名物「ハンズメッセ」に行って、髪のブラシを買いました。
800円ちょっとで、得した気分。
人混みにまぎれ、どこかの家族の一人のような。ふふふん、いい感じです。