今の朝の連ドラ「なつぞら」の主人公は戦災孤児だ。
三人の兄と姉妹が、両親を失った。
戦災孤児。
戦争で親を失った子供たち。
社会のみんなで助けるのが当たり前だと思うけど、そうではなかった。
そのことは、歌の「東京キッド」でもわかる。
何も持たない子供の、壮絶な生き方。
それこそマンホールや地下道やら焼け跡やら。
そこでなんとか生き延びる。
どうやって生計をたてていたかとのアンケート。
一番が「物乞い」だった。
それから靴磨きや、タバコ拾い。そして、かっぱらい。
涙が出てくる。
そんな子供たちが戦後の復興を損ねるってんで、野犬みたいに首根っこを捕んで収容所みたいなところに送られる。
やっと寝るところができる。
でも、まわりの人たちは、眉をひそめる。
差別する。
ここにいたことを、ずっと隠して生きてきたというおじいさんやおばあさんがいる。たくさんいる。
その人たちのココロには、決して塞ぎようのない傷がいっぱいできてる。
「なつぞら」のなっちゃんみたいに、強く生きて、幸せをつかむ人もいたろう。
グレて反社会的な生き方になった人もいたろう。
やっぱり戦争はいやだ。
子供が物乞いをして生きなきゃならない世の中は、ぜったいイヤだ。
道端で疲れて放心したように眠った子供たちは、今どこにいるんだろう。
どんどん明るく綺麗になる都会は、そんな子供たちの記憶を消していく。
でも。上野あたりに行くと、ふと袖をひっぱられるような気持ちになる。
地下道や公園への階段あたり、ささやく小さな声が聞こえる気がする。
ほら、ぼくここにいるよ。
忘れないでね。
忘れませんとも。