クミコさん、おじいさんが来てます。お礼をいいたいとずっと待っておられます。
と、スタッフのかたが楽屋に来られた。
昨日は宮城県の大郷町でのイベント。
ここにどなたもお知り合いはいないはず。
どなたかとの間違いじゃあないでしょうか。お礼をいわれることは私なにもしていないので。
とあらためて確かめてもらうと。
平成28年にあった「のど自慢」で、そのかたを特別賞として表彰したということだった。
(そのときの会場が、宮城県の大崎、昨日の会場の大郷と近い所だった)
ああ、ああ。
と胸が熱くなって、すぐさま飛んでいく。
暑い西日の中、会場のロビーに敷物のようなものを敷いておじいさんが座っておられ、私を見るなり破顔一笑で立ち上がられた。
そのお顔に見覚えがある。
クミコさんにホメられて、それから私の人生が変わりました。
と、地元のキャンペーンに出れらた映像を持参されていた。
ああ、ああ、とまた胸が熱くなる。
ただ手を取り合う。
朝4時半に起きて農作業をしてるんですよお。今日もやってきましたよ。夜はもう日が暮れると寝ちゃう。
真っ黒に日焼けされた、腰はちょっと曲がっておられるが、ガタイはしっかり青年のようだ。
88年間、こうしてこのかたは天候という人智を越えたものを相手に、生きてこれらたのだ。
神々しくてならない。
お礼を申し上げたいのは私のほうだ。
たまたま出場した私が差し上げることになった特別賞。
そこで、そのおじいさんのお姿や、人生を感じさせる歌に感動し、ちょっとした感想を申し上げたこと。
生放送での時間内に、おそらく早口でしゃべっただろう言葉。
それに、このかたはずっと感謝を持っていてくださった。
おじいさんの、大地と太陽のような笑顔に送られリハーサルに向かった。
歌という仕事、いや、歌そのもの。
これも神さまからのギフトだなあ。
と、また思った。
おじいさんのお名前をうかがうのを忘れたことに、後で気づいた。