数字が苦手だ。
数字にはできる限りかかわりたくない。
と、思って生きてきた。
だから、確定申告のようなものは、昔ピアノの弾き語りで食っていた頃かかわった時が最後だった。
それからは、もうなんでもいいから事務所にまかせ。
とりあえず、今日を生きられるお金があればいいです、のスタンスでやってきた。
ところが。
ここ数年。この確定申告をしている。
父親がもうギブアップしてしまったからだ。
「今年もやってきたよ」
と、自慢気に言う父親は、もういない。
いいよ、あたしがやるよ。
と、毎年この時期、数字と格闘する。
商売とかやってるんでもない、ただの年金生活者なのに、案外とめんどくさい。
医療費控除とか、地震保険控除とか、そんなのまったくたいしたことじゃあないよ、と人さまからはいわれそうなことと、毎年同じように格闘する。
いいかげん、覚えるでしょ手順。
と思うのに、一年経つとすっかり忘れている。
しかも、仕組みがちょっと変わっていたりする。
で。
ここ数日、何回も間違え、提出用紙が真っ黒になった。
もうダメだこれ。書き直し。
区の出張所に行き、用紙をもらい初めから記入。
アタマが錆びてきてる。
毎年、錆びてきてる。
でも。
なんとか書き終え、税務署へ自転車を飛ばす。
ところが、今度はその税務署の場所を間違える。
確かここらあたりだと曲がった道は、とんでもない方向へ伸びていた。
去年だって行ったでしょ。と思ってもやっぱり一年経ってる。
ああ、こうして一年でなにもかもリセットされてる。
それでも、ようやく行き着き、書類一式を提出すると達成感に満ちる。
よくやった、よくやった私!!
そうして、また自転車を飛ばす。
帰るとすっかり汗みどろになっていた。
ああ、これってこれからいつまで続くのかなあ。
いや、これからは、もっといろんなことがあって、こんなことじゃあすまないくらいなんだろうなあ。
いやいや。
その時はその時。
また必死にがんばろ。
とりあえずは、「よくやった私」なのであります。
私しかホメてくれる人はいないのであります。
それでも気持ちいいのであります。