ももクロちゃん。
このアイドルグループの年末特番に、また呼んでいただく。
今年もまた松本隆特集で、そのご縁でもあるのだけど、どういうわけか、ももクロちゃんとシャンソンを唄うというコーナーが設けられた。
キクチさんという、ももクロちゃんを愛してやまない、プロデューサーが、今度は、シャンソンに挑戦させたいと思われたせいだ。
このキクチさんは、ピンク色のパーカーを着て、髪もところどころピンク色だ。
なんだその格好、それでも男か、などと恫喝されない世の中でよかったと、彼と会うといつも思う。
いや、そういう世の中じゃないといかんと思う。
で。
ももクロちゃんとのシャンソンなのだけど。
曲目が、「百万本のバラ」「サントワマミー」「ろくでなし」そして、なぜか「ヨイトマケの歌」。
これ、シャンソンじゃないよ、と思うけどキクチさんの中では、それでよし、それを唄わせたいと思ったのだろう。
ももクロちゃんたちは、一年前より、大人になって、美しい。
そのガンバリも、変わらず。
シャンソンはムズカシイというより、そこに来ていたお客さまたちも、シャンソンって何なの、とおそらく思っていたはず。
そんな中、シャンソンではないけど、美輪さんの「ヨイトマケの歌」は、沁みやすい。
やはり、日本のDNAにマッチした歌なのだ。
ヨイトマケってなんなの、とか、舗装してない道路を生まれた時から知らない世代の人でも、なんだかこの母物語にぐっとくる。
美輪さんという人は、とんでもない歌を作ったのだなあと、あらためて思う。
ソウルフードならぬソウルソング。
時代背景はわからなくても、共感できる。
しんみりしてじわんとする歌。
でも、頑張って生きるんだという勇気を残す歌。
こういう歌は無敵だ。
久しぶりにお会いした松本さんは、ジャケットの下に鮮やかな青いセーター。
そして靴にも、おなじ青色がはいっている。
これ、プラダ。
さりげなく松本さん。
松本さんは、たいていこうだ。
さりげない、その身を包むものたちは、どれもこれも一流モノ。
こうして、すべてがさりげない。
その松本さんの「情熱」を、斉藤由貴さんと唄った。
一番を私、二番を斉藤さん。
私のは鈴木慶一さん、斉藤さんのは武部さんアレンジ。
キーも違うけど、なかなかオモシロイ。
本家の斉藤由貴さんと、まさかこうして唄う機会がくるとは。
終わってみれば、四時間近く経っている。
帰り際、ももクロの夏菜子ちゃんとばったり。
夏菜子ちゃんは、いわゆるセンターで、そのプロ意識を、同じ舞台で見ていて感動してしまった。
彼女から発せられる光を、きっとファンは浴びて求めて、生きてるんだろうなあ。と思えた。
それほど、彼女の光源は強く、美しい。
一年たつと、少女はまた大人になる。
もっともっと大人になる。
そのまぶしさと、自分のことを考えながら、ああ、やっぱり歌はいいなあと思った。
そして、ああいった場所で「鳥の歌」をリクエストしてくれたキクチさんにも、感謝した。
時と場所を選ばず、歌は、ただそこにある。
歌い手は、いつもただその歌を、その時々のココロで唄えばいい。
そんな単純なことを、また確認できました。