うちの事務所の唯一の若手、田村良太くんが出演しているミュージカルを観に行く。
「深夜食堂」
これ、テレビでよく見ていた。
小林薫さんのマスターぶりが、なんともよくて。
粋というか、色っぽいというか、ほどよくヤサグレているというか。
そこに集まる、都会の裏街道を行くようなお客たち。
それを、ミュージカルの舞台にするという。
どうやら韓国でできた舞台で、それの逆輸入ということらしい。
場所も新宿のシアターサンモール。
「深夜食堂」にどんぴしゃ。
良ちゃんは、なんとゲイバーのママに扮していた。
それも中年の役。
とはいえ、良ちゃんはやっぱり初々しい。
まあ、初々しいゲイバーのママがいてもいい。
十人の出演者で、いろいろな役をこなす人もいる。
それぞれが、きちんと唄っているのも気持ちがいい。
ミュージカル向きな人も、そうでない人もいる。
お客として見ていると、いろんなことを思う。
ただ一つ言えることは。
舞台では舞台で生きるしかないということだ。
そこで輝いてこそ、ということだ。
よく、言い訳をする人がいる。
それは私とて同じ。
これがこうだから、自分はこうなんだ。とか。
こういう事情があるから、こうなんだとか。
負の言い訳をしてしまう。
それは決してしてはいかんのだなあ、と思った。
舞台に出れば、そこはもう無法地帯。
もろもろの決まり事は決まり事として、それ以外は、もうその人のもの。
いかに「自由」でいられるか。
いかに、気持ちのよい自分でいられるか。
それが勝負だ。
それが生きがいだ。
一人一人が、そんなふうに、いかに自分を輝かせるか。
それに切磋琢磨している舞台は、観ている人を、大空に飛び立たせてくれる。
この世でもあの世でもない、どこかの空に舞わせてくれる。
それはミュージカルでも、セリフ劇でも、コンサートでも、落語でも、講談でも、コントでも、なんでも同じだろう。
舞台って、そういうもんなんだろう。
舞台から広がる、無限の世界。
まさに。
「私を舞台に連れてって」
いいなあ、舞台って。
ちなみに、良ちゃんは、つけまつげをしていました。
女の人って大変ですねえ、と言っていました。
いえいえ、だんだんクセになるわよん。