関西に来てから四日目。


滞在しているのが、高級老人ホームのゲストルーム。

そこを拠点にあちこちに出かけているわけで、どうもなんだか浮世離れしてきた。


どのホームも、たいてい静かな住宅街にあり、雑踏とか人波とか騒音とか、そういうココロざわつくあれこれと離れてしまった。


ゲストルームは、もちろん老人対応なので、バリアフリー、電磁調理器、など、安心安全の至れり尽くせり。



そこで暮らすうち、どうもなんだか自分の所在がぼんやりしてきた。


ごちゃごちゃと古い洗濯機の中で、あっちにつかまり、こっちにつかまりしながら必死で生活しているような私は、だんだんぼんやりしてきた。



静かな時が流れる。

静かな時が流れねばならぬ。


そんな場所での長い時間。



すこうしずつ。すこうしずつ。見えない繭の中に入っている気がしてきた。




今日はこれから神戸。

一番新しくできた施設らしく、かなり豪華だという。



花を咲かせなきゃ。
歌で、花を咲かせなきゃ。


静かな場所にも、ちょっとだけざわつく花を咲かせなきゃ。



など思い、向かっている。