文化放送は久しぶり。
深夜に放送される「走れ歌謡曲」に、またお招きいただく。
パーソナリティのナナエさん。
いつも美しい。
お若いかたなのに、電波の向こうのかたがたへの気遣いが並々ならない。
想像力とかいうのではなく、それは彼女の大きな優しさだ。
「深夜三時というと、介護されてるかたも、皆さん耳を傾けてくださっているんですね」
深夜の闇は、人の心を惑わす。
思いもよらぬ落ち込みの罠がある。
それは、入院などしてみるとよくわかる。
カラダのことが、すべての生活を支配する。
自分のこと、あるいは、親のことだったり。
ああ、ままならない。
どうしたらいいんだろう。
そんな時、誰かの声が聞こえてくる。
闇の広い河を渡るのに、声が光になる。
こっちこっち。と行くべき明るい場所を示してくれる。
ナナエさんの声は、まさしくそんな声だ。
癒しとか、慰めとか、励ましとか。
そういう言葉たちでは言い表せない。
「最後だとわかっていたなら」は、闇の中にいる人たちへの、ほんの少しの光になれるだろうか。
ナナエさんは、本当にいい歌です。といってくれる。
今、、聴いてくださっているかたに、きっと届きます、と。
ナナエさんとマイク越しに向き合っていると、本当に電波の向う側の息づかいを感じた気がした。
ここにいます。ここにいます。
そんな声が聞こえる気がした。
こうしてみんな生きている。
なんだか胸がいっぱいになって、泣きそうになった。
若く気高く優しいナナエさんの前で、泣きそうになった。