コロムビアの納会。
今年はビル一階の大きな部屋なので、わんわんと人が集まっている。
アントニオ古賀さんが、歌い手代表でご挨拶。
「新年を迎えるといいますが、それじゃいけない。新年をつかみとる、こういう気持ちが必要なのです!」
古賀さんや、ご一緒にいらした扇さんは、コロムビアの「良い時代」をご存じだ。
「昔のあの立派な大きなコロムビアのビル」に戻したい。そういう気持ちが強い。
「会社」という言葉が、この大先輩たちからは普通に出てくる。
それだけ会社愛、いや、コロムビア愛が満ちているということだ。
それに頷く社員もそうだ。
この会社に所属するようになって一番驚き、ある種の感動をしたこともこれだった。
コロムビア愛。
ここの生え抜きの人たちには共通したものがある。
まず、人がいい。
素直だ。
そして礼儀正しい。
この苛烈な音楽業界で、人が悪くなければ生き残れないとも思える世界で、コロムビアの人たちの実直さはスゴイことだと思う。
だからこそ、私のような「ふうんどうなんだろ」的斜めニンゲンでさえ、恩返ししたいなあと思えてしまう。
この人たちに報いたいなあと思う。
この人たちと一緒に喜びたいなあと思う。
で。
だんだんと本気になった私は、その後、個人的忘年会の途中、新曲ミキシングの件で、スタジオに向かった。
ここ数日やっぱり納得いかない、と頭をかきむしるように思いつめ、とうとうこの年の瀬に、もう一回みんなで聴き直してみましょうということになったのだった。
「クミコさんの言ってること、やっとわかりました」とディレクタークドウさんの言葉に、うううううと泣きそうになる。
冤罪がやっと晴れた人のようだ。(なんちゅう例え)
こうしてビール一杯で今年の忘年会は終わり、でも、これでいい、これで来年がんばるという気持ちが自分で確かめられた。
63才の本気モードです。
遅いなあ、ナンだよ今頃な感じですが、人生に遅すぎることはないのだ。
と、自分に言い聞かせています。