今週、またレコーディングがある。
その前に、寸法やテンポの確認にスタジオに行く。
メトロノームでいくと、一つ二つの違い。
ふだん、そんなの大したことじゃないと思っていても、これがけっこう大きい。
ちなみに、「デラシネ」の一曲目「不協和音」では、AメロとBメロでテンポが違う。
作曲者の七尾さんが、わざとそう作っているのだ。
もっと前の「うまれてきてくれてありがとう」では、ゆっくり刻むテンポのその一つの差を、つんく♂さんは譲らなかった。
生のライブをしていると、その時の気持ちでテンポはいかようにも変わる。
それはそれでステキなのだけど、録音物は、そうはいかない。
もともとがいい加減な性分の私も、この「緻密さ」の重要性がわかるようになってきた。
録音物は何回も繰り返されるものだから、くどく重くてもいけない。
かといって、情感は必要だ。
このあたりがむずかしい。
そうこうして、これがベストではないかという着地点をみつけ、終了。
前々から気になっていたレストランに行く。
レストランというより、バー。
狭い階段を上り、ドアを開けると、良い香りがした。
あ、ここダイジョウブだ、すごく美味しい。瞬間にわかった。
古い建物の小さい店の、隅から隅まで、美味しさが満ちている。
そういう匂いだ。
出てくる料理に、だんだん涙が出てきた。
言い方はわるいけど、こんな場所で、こんな風にずううっとこんなきちんとした料理とお酒を出し続けていたんだ、この人たち。
(ちなみに男性二人です)
6年経ったというその店を、こうして大切に守ってきたそのことに、なんだかもう感動してしまったのだった。
それほど、素晴らしい料理だった。
(おまけに安い!)
ああ、歌もこうじゃなきゃなあ。
こうしてココロを込めて、一生懸命やっていかなきゃなあ。
きちんとした良いものを提供していかなきゃなあ。
腐ることなく、妬むことなく、ただ自分の作品に一生懸命にココロをこめて、きちんと唄っていかなくちゃあなあ。
料理を食べながら涙ぐんでしまうなんて、まったくもう。
そして。
部屋に戻り、神さまに感謝しました。
なんだかそんな気持ちになったのでした。