こう雨ばかりだと猫たちはどうしてるんだろう。
そう思ってたら、窓の向こうの木にぴょこんと飛び移る猫あり。
ボス、と私がよんでいるデカい白黒猫だ。
デカいのに、そこはやはり猫だ。
ぴょこんと身軽に飛んで、今度は物置の屋根に飛び移り、そして、向かいの家の庭に消えた。
そこらあたりに、ちょうどいい雨風をしのげる場所があるんだろう。
以前、ひどい台風の日には、斜め向かいの家の室外機の上に座っていた。
そこだけがエアポケットのように、猫の安全な居場所になっていたらしい。
猫はやっぱりスゴイ。
特に野良猫はスゴイ。
次に生まれ変わるなら野良猫もいいかもしれない。
いや、哺乳類はもういい。
それこそ名もない草とかがいい。
生きてるのか死んでるのか、だあれにも、よくわからんままこの世界にあるものがいい。
そんな名もない花や草がはびこる裏道を通って、期日前選挙に行った。
台風接近で、投票に来る人が多い。
選挙当日のようににぎわっている。
この人たちにも日当って出るのかなあと思う、たくさんの立会人の人たちに軽く会釈しながら、外に出ると、アンケート用紙を持った女性が。
お、これってもしかして。
やっぱり。
「NHKですが、今、期日前投票されてこられたのですか?」
「はいっ!」
「出口調査ですが、よろしければご記入いただけますか?」
「はいっ!」
うれしくてしかたない。
かねてから聞いていた、これが出口調査というやつか。
うきうきうき。
アンケート用紙と筆記用具を渡され、誰に、どこの党に投票したか、そして安倍政権への評価など、数項目。
ばばばばと書く。
迷うことなど一つもなく、ばっさり書く。
人生初の出口調査は、こうしてあっという間に終わった。
もう一回くらいやってもいいなあと、誰も頼んでないのにすっかり気持ちが良くなっている。
ルンルンしてる。
初めて、のことって、やっぱり楽しいもんだなあ。
あれ。ボスの声が聞こえる。
ふぐぐぐいってるぞ。
あいつ、あんな歳して、若いメス猫探してるのかなあ。
まあいいか。
がんばれボス。