朝の生放送にJWAVEに行く。
この放送局は六本木ヒルズの33階。
私は、このあたりが苦手だ。
テレビ朝日もあるし、申し訳ないんだけど、やっぱり苦手だ。
このヒルズののっぽの建物ができてからは、どこをどう歩いていいのかさえわからない。
アップダウンのある狭い土地に、上へ上へと伸びてくもんだから、地上の私のようなニンゲンは、ただ迷う。
それでも、ときどき何かのイベントでヒルズの広場に「ドラえもん」がいると、ぐっと安心する。
ドラえもんが、一体でも何十体でも、そこらにいてくれると安心する。
愛くるしいアタマやお尻あたりを撫でる。
ほっとする。
ドラえもんは、私の灯台みたいだ。
そういえば。
ドラえもんの声の大山さん。
そしてその夫だった砂川さん。
介護しているほうが先に力尽きてしまったのだったなあ。
悲しいとか切ないとかいう言葉を通り越しちゃうけど、やっぱり悲しく切なかった。
「一生、誰かを裏切らない人生があってもいい」
昔、そんな言葉を聞いた。
ちょっとした裏切りはあるにしても、根のところで裏切らない。裏切れない。
そんな人を一人持つことは幸せだ。
そのことが、迷うココロの灯台になる。
大山さんと砂川さんは、お互いを灯台としながら、長い間生きてこられたのだろうなあ。
亡くなった砂川さんの顔を最後に見て、大山さんは「お父さん」と涙し、その後それすらすぐに忘れてしまったらしいけど。
それはそれでいいのだろう。
灯台の灯りは、今もずっとお互いを照らしているに違いない。
私たちには見えなくても。