久々に満員電車に乗り、ラジオ局に向かう。

 

ニッポン放送の上柳昌彦さんと番組収録をする。

 

 

「クミコさん、ぼく定年になっちゃいました」

 

そうか、もうそういう歳なんだ。

 

初めてお会いしてから15年も経ってる。

 

 

 

 

夕方、バンドリハーサルを終え。

 

にぎわう駅前の交差点に出ると。

 

 

 

びびびびび。びびびびび。

 

と大きな音がして。

 

「止まらないでください、止まらないでください!」

とスピーカーから大声を出して、消防車がかけぬける。

 

 

こんなに突進してくる消防車は初めてだ。

 

そんな大変な火事があるのかと思うが、消防車はその一台。

 

 

 

びびびびび。びびびびび。

と、その一台の消防車は、スピードを緩める気配なく交差点に進む。

 

 

と、と小さな女の子を連れた自転車の若いお母さんが、渡り遅れている。

 

 

お母さんは、それでも一生けんめい、渡り終え。

 

 

やっと渡り終えたところで。

 

 

 

わああああああんん。

 

とその小さな女の子が泣き出した。

 

顔中が涙になって、大きな口がゆがんでる。

 

 

 

 

ちょうど私の目の前だ。

 

かかんで「こわくないよ、もうこわくないよ」と言う。

 

 

お母さんが、自転車からその女の子のところへ駆け寄り、抱き上げる。

 

 

 

 

わあああああん。わああああああん。

 

そうだよねえ、コワかったねえ。

 

 

 

 

消防車が戦車に見えた。

 

 

こんな時代にしてはいかんのだ。

と突然思った。

 

 

 

世界のそこここで、こんなふうに泣いている子供がたくさんいる。

 

いや、泣くことも忘れてただ呆然と動かない目を持った子供がたくさんいる。

 

 

 

 

ちっちゃな子供が恐怖で泣く時代、それは悪い時代なのだ。

 

 

それをあらためて胸に収めた。

 

 

 

 

 

 

さて、これから福岡に参ります。

 

キャンペーンです。

 

久しぶりの福岡。

 

うれしい。です。