バンドネオン奏者の小松亮太さん。
先月、そのレコーディングに参加した。
バンドネオンとバイオリンとベースだけの歌。
その時のことは、ここでも書いたけれど、とても気持ちの良い時間になった。
バイオリンだけで唄う場所もあって、ゆるい流れの中でお互いを支え合って河を渡るような。
そこに他の楽器がかさなり、一群となって目的地までの川流れを楽しむような。
そのトラックダウン完了音源をいただいた。
まったく河の流れのようだった。
あちらこちらの岸に咲いた花や草を愛でながら、流れていく。
これってまるでオフィーリアだ。
曲は「さよならの夏」。
ジブリの「コクリコ坂から」のテーマソング。
小松さんのアルバムは、ジブリ音楽を取り上げたものだ。
バンドネオンは、小さくて不思議な楽器だ。
凶暴な情熱や、壊れそうな絶望が、すぐそこに見えてくる。
奏者が、まるで貴婦人のご機嫌をとるように、楽器に接する。
一時期、京谷さんのバンドネオンのオッカケをしていたこともあって。
その魅力には、とことんとりつかれた。
そして今、また小松さんのバンドネオンとご一緒している。
ちなみに、最初のご縁は、NHKの歌謡コンサートでの「赤い靴のタンゴ」。
アルゼンチンでもコンチネンタルでもない、日本のタンゴ。
これがまたとても良い。
タンゴは、人をぞくぞくさせる。
一定のリズムという制約の中だからこそできる自由、奔放。
はみ出る、はみ出す、という喜びは、生き物の持ってる本能なのかもしれない。
うわあああん、ぐわあああん、ざざざざ。
あれあれあれ。
この喜びは、遊園地のジェットコースターに似ているとも思う。
もうジェットコースターには乗れないから、これからはタンゴだな。
あ。そうそう。
小松さんのアルバム発売日は、私のアルバムと同じ、9月27日です。