最初が山形で、そこのご出身の大泉さん。
そこから、吉さん、北島さん、千さん。
そして、昨日、布施さん。
「のど自慢」のゲストとしてご一緒した皆さま。
それぞれが思い出深いもので、それはきっと一般のかたがたと同じ舞台で、同じ時を過ごすことも大きな理由だと思う。
いわゆるプロの歌い手ではあるが、その玄人が素人の歌を聴きながら、歌の原点を見つめる機会になる、そんなことじゃないかと思う。
玄人は横から、素人のかたがたの歌を聴き、ああそうだ、とか、ああそうだったとか、いろんなことを発見できる。
少なくとも、私はそういう大きな喜びをいただく。
昨日も、「うまれてきてくれて ありがとう」を唄ってくださったかたがいらして、その方は私より若いけれど、6人ものお孫さんをお持ちだ。
そのかたが「きみはいい子です」と唄われると、ころんとした生命がみえるような気がした。
そのころんとした、いとおしい生命は、傷つきやすく、もろいもので、みんなでそれを守っていかねばならない。
どこのどんな生命も、そうして、みんなで大切に育て守ること。
そうか、作詞の湯川さんのお書きになりたかったことはそういうことだな。
アタマでわかっていたようなことが、すとんと腑に落ちた。
そうだ、そうだよなあ。
こういう発見は、毎回起きることで、「のど自慢」は、私たち歌い手のためにもあるのだなあと思える。
そして。松本。
まだ二十歳そこそこ、片道4時間くらいかかっただろうか。
生まれてはじめてボーイフレンドと行った街だ。
美ヶ原高原に向かう途中の松本は、それはもう美しい夏の真ん中で、お城がくっきりとそびえていた。
その時の写真は、宝物のようだけど、はてさていったいどこにしまったか。
ああ、もうそんなことも紛れる年になってしまった。
東京に戻り、老親を近くのファミレスに連れていく。
リブロースステーキをパクパク、冷麺もズルズル、デザートにチーズケーキまで食べる二人を前に。
ああ、今年も夏は終わりだなあ。
ちょっとさみしい気持ちがした。