大通りに面したバス会社のガレージ。

 

通るたび覗いてみる。

 

今年は、来ないのかなあ。

 

もう死んじゃったのかなあ。

 

 

そう思ってたら。

 

 

 

来た。

いた。

 

 

ツバメだ。

 

 

 

 

しゅわしゅわしゅわ。

 

ヒナたちが鳴く。

 

 

親鳥がエサをはこんできたのだ。

 

 

 

でも、今年は、そのしゅわしゅわが小さい。

 

 

なんたってこの暑さだ。

 

ヒナも弱ってるんじゃないか。

 

 

だって。どう考えても、時期が遅すぎやしないか。

 

もっと早く巣立ちするんじゃなかったか。

 

 

 

心配してもしかたないけど、心配で立ちどまる。

 

 

 

親鳥は、さささああと一直線に、出たり入ったりしてヒナにエサを運ぶ。

 

ヒナは、ぼとんとフンを落とす。

 

 

 

例年通り、下には紙のシートが置いていある。

 

 

バス会社の人たちの、毎年の思いやりだ。

 

 

それでも、ガレージの車のボンネットに、白いフンが落ちる。

 

 

 

 

これがイヤで、巣ごと撤去する場所が多いのに、このバス会社の人たちは、毎年、こうしてツバメ一家に居場所を提供してる。

 

 

 

なんてありがたいことだろう。

 

 

 

無事に巣立ちしたら、お礼いわなくちゃ、とこれまた毎年思う。

 

 

毎年思うけど、一回もしてない。

 

 

よし、今年こそ、お礼を言おう。

 

 

でも、なんて言ったらいいんだろう。

 

 

そう迷ううち、毎年過ぎる。

 

 

 

 

がんばれ。都会のツバメ。

がんばれ。真夏のツバメ。