不思議だなあ、なんでだろう。
朝の連ドラで、お母さん役の木村佳乃さん。
ぜんぜん、農村の人に見えない。
労働者ぽく日焼けした感じの化粧だし、衣装もそれなりなのに。
なんでだろう。
そういえば、おじいさん役の古谷一行さんも、農村の人に見えない。
お二人とも、きちんとその役をまっとうしているのに、なんでだろう。
これは、もう役者さんの責任じゃあないんだろうなあ、と思った。
もって生まれた雰囲気(都会的というか垢抜けたというか)が、その対極にある役をジャマするんだろう。
そうとしか思えない。
今、土の匂いだとか、汗の匂いだとか、そういうある種動物的な感じを演じることのほうが、大変なんだろう。
トレンディードラマや軽いサスペンスドラマのような、ほんとにあるんだかないんだかわからないもの、ニンゲンという動物の匂いのしないもの、そんなもののほうが「演じ」やすいのかもしれない。
架空のお話は、どこまでもやっぱり架空で、それを演じる役者さんには、逃げ場が多くなる。
それこそ、指先一つ、声色一つ、背中一つ、足の曲げ方一つ、そんな一つ一つの演技が、リアリティを作っていくんだろう。
大変な商売だなあ、役者さんて。
昔、こういった連ドラだと、主人公がだんだんと年をとるっていう展開が多かった。
子供から老人まで。
老人あたりになると、かなり不自然なメイクになって、これはこれでみょうな感じがした。
だけど、この前の「べっぴんさん」のように、いつまでたってもみんな同じに見えるっていうのも、見ていてツライ感じがあった。
高良健吾さんだけが、きちんと年を重ねた姿と演技をしているので、よけいバランスが悪かった。
これはもう制作側の責任だろう。
どういうふうに、どの程度まで、変化させていくのか、そういう基準を全体に示せなかったということだろう。
それにしても。
と、ここからはただの視聴者としてのいまさらの感想だけど。
「べっぴんさん」には、ほんとに困った。
あまり困るので、ずっと見てしまった。
理想を持った会社の発展の話なのに、会社の全体も、デパートの全体も、なにもかにも見えてこなかった。
いつも同じようないくつかの場所で、みんなでお茶を飲んでお話している。
なんなんだろうこれ、と思ううち、とうとう最終回になって。
天国からおとうさんおかあさんまで出てきて。
まさに掟破り全開。
こんなのないよ、とかぶつぶついいながら、見終わってしまったのだから、これもドラマの「戦略」かもしれない。
ううむ。それにつけても、木村佳乃さんの不思議。
まさに「美しすぎる農村婦人」てことか。