朝の9時からリハーサルをする。
窓のないスタジオで。
「ちょうちょ」やら「心の指紋」やら「かみかくし」を唄っていると。
どこのいつやら、時空にまぎれてしまう感じがする。
外に出ると、陽射しの明るさにめまいがする。
夜。
松元ヒロさんのライブに行く。
行きたい行きたいと思いつつ、ずいぶんとご無沙汰していた。
紀伊国屋ホールに入ると「クミコさんクミコさん」と声がする。
湯川さんが座っておられる。
そうだった、湯川さんもヒロさんのファンだった。
森友学園、この世界の片隅で、沖縄基地、憲法。
ヒロさんは、真っ向から社会に切り込んでいく。
そして笑わせてくれる。
わんわん笑わせてくれる。
笑っているうちに、だんだん悲しくなっていく。
舞台でまさにこのライブのタイトルそのまま「一人立ち」のヒロさんを見ながら、どんどん悲しくなっていく。
この国はどこへ向かおうとしてるんだろう。
こんなふうに、やんやと笑っている自分たちが、かつてそうであったどこかの誰かにリンクしていく。
それは、あの戦争前の誰かたちかもしれない。
あきらめることはない。
あきらめることはできない。
でも、悲しい。
出口に向かう人たちは、みな一様に静かだ。
あ。みんなおんなじだ。
みんな悲しい。
悔しいけど、悲しい。
ヒロさんは、今日も舞台に立つ。
明日も明後日も、舞台に立つ。