ひゃあ、と寒い中、原宿に行く。
亡くなった永さんの追悼ライブの打ち合わせ。
中村まり子さんとオオタスセリさんとの三人ライブ。
永さんのご自宅マンション近くのカフェは、永さんがいつもそこで打ち合わせをしていた場所。
私は一回来たことがあるかどうかくらいだけど、まり子さんとスセリさんには、思い出が多そうだ。
ライブの打ち合わせだけど、だいたいが生活の話になる。
ポカリスエットのフタが開かないという話やら。
母親が、三つあったサンドイッチの二つを食べてしまった話やら。
知らない間にスネから血が流れてて驚いた話やら。
このスネから血の話は私で。
おそらくスエットパンツの脱ぎ着で、爪が当たったせいだろうけど、その時痛いとも思わず、ふと傷から流れてた血で気づいたこと。
これって、どうよ。
こんなに感覚が鈍くなってるのか、私。
という話だった。
そんな日常のあれやこれやで、すきま風の入るガラス張りのカフェで二時間あまりを過ごした。
肝心のライブは、7月の金土で三回。
青山の曼荼羅。
永さんが作ったコントもやろう。
あの歌も唄ってほしい。
やっぱりトークが重要だ。
意見が飛び交う。
「舞台後ろの壁に永さんの写真を貼ろう」
その永さんは、やっぱりあのころの元気な永さんだよね。
ぎんぎんで、コワかったころの永さんだよね。
おじいちゃんの永さんじゃないよね。
店を出て、原宿と表参道の間の交差点で別れる。
私たちは、たいていそっけなく別れる。
このそっけなさも永さんぽい。
こんなとこも、私たちに受け継がれてる。
そっけなくサヨナラを言えるうちは、まだまだちゃんと生きていける。
でも。
いつか抱きしめ合って別れる日がくる。
それはそれで、いい。
とても、いい。