五木さんの番組「人生歌がある」の収録。
今回のトリビュートコーナーは郷ひろみさん。
郷さんは、なんと61歳だというのだ。
そんなまさか。
その姿は、還暦の男のイメージをことごとく粉砕する。
少年が、その細い手足に、たくましい筋肉を上半身に蓄え、そして大人の男になった。
そんなイメージ。
とうぜん、動きもキレがいい。
ほろぼれと見とれてしまう。
そうか、これが進化し続けるアイドル郷ひろみなのだと納得する。
番組の中で、郷さんが興味深いことを言われた。
「若いころ、こんな歌詞をもらうとなんでどうして、って思ったんですよ。
だって、いちにサンバ、ににサンバですよ。
どう考えたらいいかわからなくなって。」
ところが。
それから郷さんは、これが歌謡曲なんだと思ったという。
そして、その王道を行こうと決めたという。
「だから、あちちち、っていう歌も唄えちゃうんです」
郷さんは、かなり深ああいことを言われている。
歌い手に、歌えない言葉があってはならないこと。
どんな言葉も唄えて、それをみんなに楽しんでもらうこと。
これって、まさしく歌い手の王道だ。
今回、郷さんの歌たちを聞き、唄って。
その広さに驚いた。
私など、郷さん独得の声に引っ張られて、そのヒット曲の広さを忘れてしまっていた。
コミカルな曲、ポップス、「哀愁のカサブランカ」などの外国カバー曲、など、いざ聞き唄ってみると、そうかそうだったのかと感嘆してしまう。
私が歌ったのは「逢いたくてしかたない」。
思いのほか、ムズカシイ曲だった。
郷さんが、アイドルとして華やかに唄い踊っている、その後ろには、こんな難関を突破してきた強さがあるのだろうなあ。
「自分には足りないものがある、だからそれをどう補えばいいか考えて行動し生きてきました」
ううん。すごいなあ。
足りないものだらけの自身を思い、いくつになっても頑張らなきゃあな。
郷さんの広い背中を見ながら、つくづく思った。