まったくなんだって、あんなところにいるんだろう。
遊歩道への手前の路地。
その道の真ん中に、猫が来た。
人の行きかう一番ジャマな場所に、ゴロンと横になった。
このあたりの猫たちは、こうして、道の真ん中に立ち止まる。
座る。
ゴロンと寝る。
その様は、あんまり自由で、うっとりする。
道の真ん中でゆうゆうと伸びた猫をよけながら歩く。
「図に乗ってるね」と猫に言う。
ふん。と猫が私を見る。
親の家に行くまでの間、こうしていろんな猫と会う。
わざわざ猫のいそうな道を歩く。
今日はどうしてるかと確認する。
実家の近くの神社で、神頼みをしていると、おみくじ売り場の横に猫がいる。
こともあろうに、猫布団のような上にいる。
一番陽当たりの良い縁側みたいなとこに、まるで神社の猫神のように寝ている。
良く見ると、そのあたりを歩いている毛並みの悪い老猫だ。
ときどき、空き家の室外機の上とか、駐車場のすみっことかに、ぶちゃい顔で寝ている猫だ。
「お前、ずいぶん昇格したな」
ふん。この猫もそんな顔をして私を見る。
昨今の猫ブーム。
なんだかわかる気がする。
猫は服を着せられないし、シャンプーもさせられないし、お手もしなくていい。
ただ自分の好きなように、ごろんごろん生きてればいい。
気に入ったニンゲンに、気に入った時に撫でられ。
つまんなくなったら、ぷいとどっかへ行く。
夢から醒めたように、ちょっとシッポを揺らして、なんの未練もなく、どっかへ行く。
そんなの見てると、そりゃあ猫ブームになるわなと思う。
自由。って今の時代、いろいろいわれちゃうけど。
リベラル。なんていったら、もう虫唾が走る、って人も多くなったけど。
でも、猫見てたら、やっぱり自由っていいなあと思う。
野良猫なんて、せいぜい二年間の命だときいたことがある。
今はもっと長命になってるかもしれないけど、たかだかそんなあたりのこと。
シンドクなると猫を見る。
そして話しかける。
ふん。
そんな顔の猫を見てると。
猫とニンゲンの境がぼやけてくる。
とりあえずニンゲンやってるけど、猫側にまわってもいいな。と思う。
さ。出かけなくちゃ。
今日も猫日和。