そいつは突然やってきた。
ひと月ほど前。
めったに家で飲まないのに、冷蔵庫に残ってた一番ちっちゃい缶のビール。
それをお風呂上りに一口飲んだ。
すると。
あれ、なんだか変だ。
心臓あたりがドキドキしはじめた。
え、なんで。
ビール一口で。
体調のせいだと思った。
まあ、たまたまそんな日なのだろうなあと。
ところが。
それから、ずっと、夜になると心臓がパコパコする。
脈をとると、ううううん、ぱた、と抜けたりつまずいたりしている。
いよいよ一巻の終わりかと思ったけど、ニンゲンがそんなに簡単に終わっちゃいそうもない。
ネットで調べると、予想通り、自律神経失調症あたりの感じ。
「不調」というとたいていこれか、加齢かという二本柱みたいに出てくるやつ。
なんか悔しい。
こんなヤツにつけこまれるのが悔しい。
夜。
ほっとしてると、ぱこぱこしはじめる。
せっかくほっとしてるのに、これも悔しい。
そういう時は、お、交感神経と副交感神経がせめぎ合ってるなと思う。
カラダの中で、この二つがあっちいけ、こっちいけと張りあってる様を想像する。
いいかげんにせいよ。誰のカラダだと思っとるんじゃい。
この頃は布団にはいってもパコパコするので寝にくい。
まったくジャマだったらありゃしない。
マイスリーを飲んでしのぐ。
でも、ちゃんと生きてる。
まあ、これでいいかと思う。
原因とかなんだとか、いろいろ考えると、それこそ相手の思うツボな気がする。
勝手にしてろよ。
と、ほっとくことにする。
でも、ほんとにジャマ。
じゃまじゃまぱじゃま。
何言ってんだ、私。
さ。
仕事仕事。
脳のネジまかなきゃ。