テレビをつけたら、マンガみたいなドラマをやっている。
ちなみに。
鈴木亮平さんが銭形警部になっている。
この人、「花子とアン」で誠実実直な主人公の夫を演じていた。
だいたい、誠実実直というほど、オモシロくないものはない。
これを魅力的に演じるというのは、相当の技なしにはできない。
なんちゅうことない歌を魅力的に聴かせることの難しさと似ている。
なので、鈴木亮平さんがどういう役者さんなのか、まったくわからなかった。
ところが。
ある日、テレビでヘンな映画を見た。
「HK 変態仮面」。
キャストに鈴木亮平の名前が。
まさか、あの人じゃないよね。
チャンネルを合わせた。
メチャクチャな映画だった。
ほとんど裸で飛び回る鈴木さんがいた。
なんなんだこの人。
履歴を見ると、外語大出身らしい。
それも英語系。
なんなんだ、この人。
ある日、「LIFE!人生に捧げるコント」を見た。
そこに鈴木さんがゲストで出ていた。
そこでの発言に、またぶっ飛んだ。
「ぼく、許せない言葉使いあるんです」
「もう一回、やらさせてもらっていいですか?」のような、ナニナニさせてもらって、という言い方。
これが許せないというのだった。
「もう一回、やってもらっていいですか、でしょ。」
させて、はいらない、不愉快というのだった。
言葉使いとして間違っているというのだった。
「じゃあ、ラ抜き言葉もダメ?」という質問に。
「いいえ、あれは、時代の言葉の変化ですから良いのです」
「食べれる」とか「見れる」とか、感覚としてはイヤだったけど、私もこれは仕方ない変化だろうなと思っていた。
それにしても。
こういう発言をできる役者さんがいるんだ。
この、サセテ言葉の指摘は、なかなか鋭かった。
「ナニナニさせてイタダキます」言葉も、同様。
この手の言い方がまずいのは、単にへりくだったということだけじゃない。
責任の所在が見えなくなることだ。
誰が、どう何をしたいのか。
それがうっすらと見えなくなることだ。
鈴木さんは、語学を学んできたから、語法としての違和感を唱えたのだろうが、オモシロイ人だなあと思った。
ボーダーラインのない人なんだなあと思った。
垣根なく、垣根を越えて、カラダを張って役を生きる。そういう人らしいとわかった。
なので。
この銭形警部も、鈴木さんが面白がって一生懸命、役に生きているのがわかった。
ちなみに。
敵役に誠実実直が似合う上川隆也さん。
悪役とか破天荒な役とか、役者さんにはタマラナイ魅力なんだろうなあ。やっぱり。