譜面と歌詞から、一つの歌を創る。
 
自分の声が、どんなふうであれば良いのか、まったくわからない。
 
でも、やってみるしかない。
 
 
正解はずっとわからない。
 
早くわかりたい。
 
あるべき着地点にすすっと行きたい。
 
最短で行きたい。
 
 
でも、なかなかそうは問屋が卸さないのだなあ。
むずかしいなあ、歌って。
 
 
 
そう思いながら。
音楽スタジオからUSENのスタジオに行く。
 
ほぼ毎月一回の「昭和ちゃんねる」の収録だ。
 
 
パートナーの昇太さんは、とにかく忙しい。
 
あの「笑点」の司会から、また格段に忙しい。
 
 
きっと、このUSENも早晩やめちゃうだろうなあ、と思っていた。
 
寂しいけど仕方ない。そう思っていた。
 
 
そんなこと思っていたので収録の後、飲み会があると聞いて、それはきっと送別会に違いないと思った。
 
 
 
 
 
スタッフも含めて7人で近くの居酒屋へ。
 
そろそろお開きかという頃、聞いてみた。
 
「なんで今日こういう飲み会になったんですかねえ」
 
 
そうしたら。
 
「だって、前回クミコさんが番組の中で言ってたじゃないですか、みんなで飲むことがないって」
 
「ええええっ!」
 
 
「覚えてないんですかあ」
 
 
「いやいや、私はてっきり昇太さんの送別会だとばかり・・・」
 
 
ああ、またしても早とちり。
 
 
 
 
でもまあ、この番組にかかわってからもうはや11年目。
昇太さんとのタッグも7年目。
 
幸せな仕事であることには違いない。
 
 
特に昇太さんとのフリートークは、何も決めごとがないだけに、お互いの呼吸みたいなとこがすべてだ。
 
 
 
慣れ合いにもならず、よそよそしくもならず、柔らかいまま続けてこられたのは、やっぱり昇太さんのプロ技のおかげだろう。
 
 
感謝。
 
 
昨日の収録で出たオモシロイお話。
 
それが去年の紅白歌合戦の審査員のこと。
 
 
去年から、その席が舞台左になった。
 
なので、お客さまからは丸見え。
 
そのうえ、当然ながら「楽しんで」いるという風情を出さねばならない。
 
(もしどこかでアクビでもしようものなら、のちのち一大事になるだろう)
 
 
のりのりに手を動かし、満面の笑顔で。
生中継の5時間。
 
 
こりゃあ、大変だ。
 
 
人気者は他者が思う以上に苛酷な仕事をしているのだ。
 
 
人を笑わせる。
これは泣かせるより数段むずかしい。
 
 
もし私に才能があったらなりたいもの。なりたかったもの。
 
お笑いの芸人さん。
そして画家。
 
 
もし来世があるなら。
神さま、頼んまっせ。