京都に向かっている。


東京駅までは通勤電車。

ラッシュ時間帯なので、先頭の女性専用車両に乗る。


ドア付近に立つと、朝日の当たるドアに若い女性の顔が映る。


私の前に立っている女の子だ。


なんとまあ、綺麗なこと。


マブタにうっすらと伸ばしたアイシャドウがキラキラ光る。


ぐっと結んだ口元が、笑っているように見える。

口角が上がっているせいだ。




こういう肌を、なんと表現したらいいのだろう。

そうそう、中国のナンタラいう古典に、乳脂が薄く乗って湯をはじく、なんてのがあった気がする。

たしか、入浴中の楊貴妃の容姿を表したとこだった。


なんともまあ、なまめかしく、高校生の私たちは、ヒヒヒと照れ臭く笑うしかなかった。



そんな肌かなあ。

この若いOLさん。



新宿駅で降りるとき、振り向いたその顔は、より口元がくくくと引き締められて、もう臨戦態勢なのだな。


がんばってね。


悪い狼や、ズルいネズミに負けないでね。


赤ずきんちゃん、気をつけて。





こんな心持ちは、お母さん、いや、おばあちゃんかもしれんなあ。



見渡せば、みんなが、それぞれの戦いに向かっている。


シンと静かな車両は、いろんな戦士をはこんでいる。



あ。私も。



これから慣れない邦楽のコラボに参ります。


還暦過ぎた赤ずきんちゃん、がんばります。