「イトコとおっしゃるかたがお見えです」
キャンペーンの舞台裏にいると、スタッフヤマザキの声。
「イトコ?」
現れた女性は、どちらかといえば「叔母」にあたるような年齢。
「・・・です」
名乗られたとたん、ああ、父方のイトコだとわかる。
父親は兄弟の下から二番目。
なので、当然かなり年配のイトコになる。
近くに住んでいるのでと、わざわざ来てくれたのだった。
「おじさん、おばさんはお元気ですか?」
と聞かれ。
そうか、おじさんおばさんは、私の両親のことだとあわてて。
「はい、元気ですが、父は最近物忘れが多くて」というと。
「それは私たちも同じですよ。年だから仕方ないんですよ」
イトコとそのご主人のお二人が、優しく笑う。
母親は兄弟の長女なので、イトコはみな私より若い。
私の子供といってもいいようなイトコもいる。
なるほど、一言でイトコといってもさまざまなのだった。
昔は、10人近くの兄弟が当たり前で、そのうち二人くらいが病気で亡くなって残りが7,8人。
そんな家族ばかり。
私の両親もまたそういう家族。
一人っ子で、姪も甥も永久にいない私は、当然だれかに「クミコおばさん」とよばれることもない。
「オバサン」ではあるけど「おばさん」や「おばちゃん」にはならない。
なんだか、残念な気がする。
88才の両親を「おじさん、おばさん」と親しく呼んでくれるイトコに会って。
私も誰かの「おばちゃん」になりたかったな、とちょっとだけ思った。
それにしても。
10人近く産んだ日本の母たちって。
ああ。どれだけ大変だったことだろう。
それが私たちのおばあちゃん世代。
つくづくと敬意を表します。
さて。
これから川崎でコンサート。
「いのちの電話」の皆さんの主催。
いのち。
ああ。すごい。