実家に行くと。


母親が笛吹きケトルを買ってきてほしいという。





父親がやかんを火にかけたまま、忘れてしまう。

これはさすがに危険だ。

音の出るやかんならいいだろう。





そんなわけで、スーパーにでかける。




メーカーは二種類。


大きさは四種類。





まあ、こんなものかと選んで買って帰る。





水を入れ、火にかける。




ピーピーとけたたましい音を予想してたら、シューシューと威勢が悪い。



この音。

肝心の父親にいたっては「聞こえない」という。


母親も「うううん」といって首をひねっている。





そうだなあ、高齢者は高い音が聴こえづらいんだよなあ。




でもさ、耳を澄ましてたら大丈夫かも。


なんて楽観的にことを済ませようとするが、今度はフタの開閉に手間取る。



きっちりフタをしないと笛が鳴らないわけで、普通のやかんのようにポンとかぶせるだけじゃダメだ。






かっちんとフタをはめ、今度はそれを開けようすると。




これがなかなか開かない。






私でもうまく開かないのだから、年寄りはアウト。






あーあ。ダメだこりゃ。





汗ふきふき猛暑の中、買ってきたけど、無駄になった。





こういうのって、どんな音がするのか買う時わからないもんなあ。



やっぱりもっと調査してから買うべきだったかもなあ。







てなわけで、この新品笛吹ケトルは、さっさとしまわれてしまいました。




老人のやかんの火の消し忘れ。


つまり、水を沸かしていることそのものを忘れてしまうこと。


それこそ短期記憶がなくなってきていること。



こんなこと、知識としては知ってたけど、いよいよ我が家にもやってきたなあ。






こうして、一つずつ、少しずつ、未知との遭遇が続くのですなあ。







ちょっと学んだこと。




どういう状況でも、まずは笑ってみる。


言葉をぜったいに荒げないようにする。


優しいトーンで話すようにする。






自尊心てのは、いくつになってもある。


誰にもある。




それをおもんばかって、尊重する。





とまあ、私自身も少しずつ成長せねば、と思うわけです。