子供のころ、なぜか押入れにあった本。



それが「婦人公論」と「暮らしの手帖」だった。




本棚じゃなく、押入れってとこが不思議だ。



隠してる、感じがする。







母親がそんなふうに読んでた雑誌。



「暮らしの手帖」は、だから懐かしいものでもある。




その頃は、花森安治の表紙で、商品テストが目玉だった。








その「暮らしの手帖」を昨日、買った。




「とと姉ちゃん」の影響で創刊第一号の数ページが付録。




牛タン定食にビールを飲みながら読んでいると、涙が出そうになった。






直線裁ちや、みかん箱やリンゴ箱の家具やら。


1949年というから戦後4年しかたっていない日本の人たちの暮らし。




そんな写真に、胸がつまって、あわててビールを飲む。





そうなんだ、こんなふうにみんなが暮らしていたんだ。




片桐はいりさんのエッセイもあって、それを読み、またしても泣きそうになる。


ご両親を十年介護し見送ったあとの呆然と解放感。


もういつでも死ねると思ったけど、いまだに「初物」を食べる習慣や、夜爪を切ることができないことなど。




自分のことのようで、嗚咽しそうになり、あわててまたビールを飲む。








牛タン食ってんだか、ビール飲んでんだか、泣いてんだか。

さっぱりわからない。







「暮らしの手帖」は、今でも、広告がない。


広告収入なし、のまま作られている。





大橋鎮子さんの当時の編集後記が載っている。



売れてほしいけど、そうそうに売れるものではないと思っていること。

でも、みんなが命がけで生きている日々に、少しでも灯をともせたらと願っていること。など。





第一号のこの言葉たちを読めば、また涙が。



ああ、しょうがないなあ。








あ。それと補足を。


昨日鳥越さんのヘアのこと書きましたが、いつものダンディーなヘアスタイルじゃなく、なぜかふわふわとした時があって、それが夜店で売っている綿菓子に似ていたものですから。つい。