スベトラーナ・アレクシェービッチ。


ロシア風な名前は、どうも弱い。


一回で覚えられたためしがない。



で。

このスベトラーナさん。



去年のノーベル文学賞を受賞した女性だ。




今度こそ村上春樹に、と日本中がいっていたらこの人が受賞した。




「いや、この人の受賞は当たり前です」というコメントも出ていて。



どんな人なのかなあ、でもきっと読むこともあるまいなあなんて思ってた。






ところが。


チェルノブイリに行くことが決まって、何か本はないかと探してたら。



「チェルノブイリの祈り」という本が。


原発で働いていた人、住んでいた人、いろんな人の取材を丁寧に構成した本。



ドキュメンタリーだ。



そして、この作者がスベトラーナさんだった。





原発が火事だというので、楽しい友人たちとのパーティーを抜け出し、シャツ一枚で出かけて行った消防士の夫。


「彼はもう原子炉なんですよ、近寄ってはいけません」という看護師の諫めも聞かず、夫にキスする妻。





普通の日常が壊れていく過程を、その人たちの口で語らせる。



スベトラーナさんは、それらを冷静に丁寧につづっていく。





彼女の本を、それから二冊買った。


「戦争は女の顔をしていない」

「ボタン穴から見た戦争」




第二次大戦での従軍女性と、子供からの証言集だ。




そうか、こういう形の文学っていうのがあったんだなあ。







はるか遠い所や、遠い昔のように思える出来事たち。



でもそれは、つい隣のことだったり、今のことだったりする。




「どれもこれも過ぎたことではないんですよ」


スベトラーナさんは、そう言っているような気がする。








さて、今日はどっちを持っていこう。

どっちも字が小さいなあ。

とほほ。