チェルノブイリ博物館で寒さに震えている時、訃報が入った。



戸川昌子さんが亡くなったという。




驚いた。



戸川さんが好きだった。


自由で奔放な、それでいて、繊細さに震えるような人だった。



あんたあさあ、ねえ、馬鹿いってんじゃないよ!


あの独特の声が聞こえてくるようだ。



戦争を生き抜いている人なので、ストッキングを繕ってしまうような人だった。



変哲もない帽子に、何だかわからない飾りをつけてオンリーワンにしてしまうような人だった。




つけまつげがうまくつけられたというと、一週間もそのままにしてしまう豪傑でもあった。





そして。


舞台に出れば、その時々で繰り出されるおしゃべりの破壊力は、まさにハンパなかった。



スゴイなあ、戸川さんって。



バカいってんじゃないよ!


また戸川さんの声が聞こえてくる。




今年のパリ祭が寂しい。


寂しい。




バカいってんじゃないよ!しっかりしなよ!




はい!ガンバります!




戸川さん、お疲れさまでした。

そして、ありがとうございました。



あれ、あたし、死んじゃったの?間違っちゃったよ。




ええっ、やっぱり間違ったんだ、戸川さん。





合掌。