USENを、シャンソンのチャンネルに合わせる。


一応シャンソン歌手ともいわれる私なのに、このチャンネルは敬遠してた。




なんか気持ちが落ち込むような気がしてた。


でも、そんなことなかった。




シャンソンは陽気で明るかった。




弾むようなテンポで、メジャー系の曲が多い。




そういえば、敬愛する高野圭吾さんや古賀力さんも、唄う歌はこういうものが多かった。


彼らの好むシャルル・トレネやブラッサンスの歌が、そういうものだから当たり前といえば当たり前。




考えてみれば、フランスはラテンなのだった。







じゃあ、日本で先入観としてある「芝居っ気たっぷりの歌こそシャンソン」てのはいったいどこからきたのか。




どっちかというと重くて暗くて暑苦しい歌のイメージ。





結局のところ、日本人がそういう歌が好きだった。

そういうことなんだろうと思う。






明るい歌より暗い歌。



テンポの速い歌より遅い歌。







良い悪いじゃなく、そういう国民性があるってことなんだろうと思う。





だからロシアの歌なんてのは、ものすごくしっくりくる。


「百万本のバラ」なんていう東欧系の歌も受ける。






私は。というと。



そうだなあ、やっぱりバルバラかなあと思う。





悲しいけど明るい。



いや。

明るいから悲しい。





重いけど軽い。


いや。


軽やかだから重さがわかる。









寒さでいえば、極寒じゃなくうすら寒さ。



これが一番こたえる。





バルバラの歌は、だから、とてもムズカシイ。



羽毛の悲しい重さ。
みたいなものを表現するには、技術と覚悟がいる。








ロシア系ユダヤの血を持って、フランスで生きたバルバラ。



積もった白い雪に射す木漏れ日を、思い出した。




もっと唄いたいなあ、と思った。