この頃では、どこへ行ってもたいてい年長の一人になる。

一番上ということも、ままある。




だから。


大阪フェスティバルホールで行われた「徹子の部屋」コンサートではちょっとあわてた。

コンサートの打ちあげで、あわてた。



ホテルの隣の焼き肉店。



真ん中の6人席にゲストが座る。


加山さんと鳳さんは、お帰りになっている。


ということは。





徹子さん、こうせつさん、三人娘の中尾ミエさん、伊東ゆかりさん、園まりさん。

あ、これで5人。



6人目の私が、遠慮がちに座る。



焼き肉というのは、こういう場合とてもムズカシイ。



気のおけない友人同士とか、似たようなグループ同士ならいいが。



大先輩を前に、皿が並べられる。



目の前には中尾さん。



さっさと肉を網に並べ始める。



あ、これマズい。


もともと気の利かない私はあわてる。





それからは、目いっぱいの目をひらき、粗相のないようつとめる。



野菜の追加をしたり、皿を配ったり。



ふだん、自分でしないことをする。





「クミコさん、タイヘンですねえ」


ときどき、番組スタッフが耳元に小声で。





それでも、大先輩の方々と卓を囲み、食事できたことは、これはこれで貴重だ。


きっと一生忘れられない出来事になるに違いない。







お開きになり、徹子さんを拍手でお見送りをし、それから、私たちグループは歩いてホテルに帰る。




「61才が、一番下っていうのもすごいですよねえ」


スタッフツヅラがいう。






本当だ。


そして、その一番下のニンゲンが圧倒される、先輩たちのパワー。


これも、まったく本当だ。




まだまだだなあ、私。




果てないことだなあ。





ますます遠い道のりのように思えてくる、芸能の道。



カラダもココロも頑丈に歩いていく、これしかない。




はい。私、がんばります。