シュザンヌ・バラドン。

これがエリック・サティが生涯唯一愛した女性の名前。


ユトリロのお母さんでもあるこの人のこと。

ご存じのかたも多くてびっくり。


「アートドラマ~美女と巨匠~」というのが番組タイトル。


これまで、ガーシュイン、モディリアニ、ムンク、ヒッチコックときて、今回サティ。

「巨匠」はアナウンサーの石澤さんが演じ、美女を色々な方が演じる。


私が資料としていただいたヒッチコックの回では、戸田恵子さんが出ておられた。



どうやら「美女」のほうは、ホントに「美女」のようだ。


なので、どうも私がミスキャストぽい。


演技なんてのも、とうていできない。



でも、子供のころに「女優」さんになりたかった一因は、ラジオドラマにある。


声一つで、どこへでも行ける。

誰にでもなれる。


時空を超える。



なんてステキ。なんてスゴイ。




でも、女優にはなれず、歌手になった。



「巨匠」の石澤さんもまた同じだったらしい。

俳優になれずアナウンサーになった。



石澤さんは、文学座の研究生だったことも知った。

当時、文学座は夢のまた夢。

スターへの登竜門としても有名で、入団試験にはそりゃあ多くの受験生が殺到した。


私は一次に通ったものの、二次で落とされた。


キャラクターが、もうすでにいる誰かとカブると落とされるとも聞いた。



なので、その難関を突破した石澤さんはスゴイ。



でも、たいていの人はアルバイトをしながら研究生生活をして、それで結局団員にはなれない。



石澤さんも俳優にはなれなかったけど、名アナウンサーになった。



でも、どうやら、その「夢」はふつふつと胸の奥で燃えていたらしい。


私の場合も、こんな形でかつての「夢」が実現した。




若い日の夢破れた二人が、還暦過ぎてこんなことになっている。



人生、まったくわからない。

なかなか味なもんだと思う。




夢は願えば叶う。

なんてことを、信じたり信じなかったりする年は、もう越えたけど。


夢を見ていた自分に会えるのはうれしい。



夢がちゃんと夢色をしていた頃を思い出すのは楽しい。




夢色。

ううむ。やっぱり夜明けのようなバラ色でしょうか。