仙台でのシンポジウムを終え、東京に戻る。


そのまま中野のサンプラザへ。


コロムビア歌謡大行進。

このイベントに参加するためだ。



コロムビアは、日本の歌謡界の王様だった。

大黒柱だった。

名曲と名歌手が、たくさんここで生まれた。



そんなことは知っていた。

だけど、その名曲と名歌手たちを、実際に見てしまった。


たくさんたくさん、見てしまった。


いろいろな場所で、いろいろな名曲と名歌手とは、もちろん会っている。


なのに、取り壊しの決まった中野サンプラザで聞くそれらは、なんだか違うものだった。


半世紀を過ぎて、なお唄われる大先輩たちは、歌ってもんが、歌い手ってもんが、なまじの覚悟じゃできないことを、教えてくれる。


そうなんだよなあ、そんなもんじゃ、やっちゃいけないんだよなあ。



そんな大先輩たちに、数段に若いコロムビアの社員は、丁寧に挨拶をする。


カタチだけではない、敬意が、込められている。



コロムビアって、こうして、生きてきた会社なんだなあ。


こうして、歌手を愛してきた会社なんだなあ。



そういう、ありかた、みたいなものも、今の音楽業界では、化石に近いのかもしれない。


悔しいけど、時代は変わってしまったのかもしれない。



ショーも終わりに近づくにつれ、目元がジンとしてきた。



良かったなあ、ここにいられて。そんなふうに思った。


これからは、わからない。
私もコロムビアも。


でも、ここにいられて良かったなあ。

そう、思った。



で。

私は今、新幹線に乗っている。

開通したぱかりの北陸新幹線で富山に向かっている。


時代は、かわる。


惜しまれながらなくなるブルートレインや、北斗星もある。


歓声の中、開通する新幹線もある。



時代は、かわる。


でも、いいんだ。

そういうもんなんだよね。

時代って。

きっと。

きっと。

ね。