古い日本映画が好きだ。


大好きだ。



そこには「あの頃」の日本が出てくるから、どんなものも、記録物としても楽しめる。


それは、服装だったり、町並みだったり、言葉遣いだったり、人間関係だったり。




先日、日本映画チャンネルを見てたら1961年の映画だった。



亡くなった勘三郎さんがカンクロウだった頃の、しかも、子供だったころの出演映画。




そうだった、あの頃、カンクロウちゃんは日本中の人気者だった。



おぼろげながら思い出す。




お父さん役が亡くなった小林桂樹さん、お母さん役がこれまた亡くなった淡路恵子さん。



今は、この世にいない人ばかりだ。



そして、なんだかやたらステキな男性がいる。


背が高く、甘い香りのする男性。


あれ、これって。と考え。


「児玉清!」



今の人気俳優といってもおかしくない。



児玉さんもまた天国に移られた。




50年以上も前の映画だもの、当たり前といえば当たり前。




そうだよなあ。


うちの父親だって、若い時の写真は、ちょっと根津甚八に似てたもんなあ。


背も高いほうだったし、姿勢も良かったしなあ。



今は、テレビ見てても、ちょっとしたことで怒り出すしなあ。


「なんで、急須のフタを下に向けてテーブルに置くんだ、あれじゃあ、テーブルが汚れちゃうじゃないか、ふつう、上に向けるだろう、なんだ、このテレビは!」


テレビドラマの登場人物の所作に、文句をいっている。




沸点がどんどん低くなってる。




年をとるって、シンドイことだなあ。


シンドイ年のとりかたをするのって、やだなあ。




で。


そんな時には、また昔を思い出す。



若かった父親の写真や、若かった父親がしてくれたことごと。


そんなもんを思い出す。




優しくしなきゃね。と思う。


もっと話してあげなきゃね。と思う。





でもさあ、けっこうシンドイよね、本人も、まわりも。



ふううううう。