代々木の共産党本部に行く。
「赤旗」の取材だ。
この本部、昔は、いかにもモノモノしくて、外部からの攻撃に備えた感があったけど、今はガラス張り。
これまで「赤旗」の取材は何回か受けてきたし、そういえばエッセイの連載をしていたことも、昨日、記者の方にいわれて思いだした。
でも、本部内に入るのは、はじめてだった。
白いエントランスに額が。
見ると「憲法九条」が、毛筆で書かれている。
屋上には小さな庭園があり、富士山の見える場所もある。
秋草が繁り、イチジクがなり、ちっちゃな水の流れにメダカが泳いでいる。
ふううと深呼吸してみる。
人工の庭園でも自然は、いい。
シンドイ気持ちが薄らいでいく。
夜、ドキュメントで「原爆ドーム」の72時間をやっていた。
川をはさんだ対岸で8月4日、5日、6日の三日間。
そこに住む人も、遠くから来る人も。
早朝。
小学4年の男の子が、ドームの絵を描いている。
岐阜から来たというお父さん。
「彼は、資料館に行ってから戦争に興味を持ったのです」
その日から、この静かな目をした男の子は、ひたすら戦争を追っている。
戦闘機とか、銃とかそういう戦うモノへの興味ではないらしい。
「将来、何になりたいですか」の問いに、
「歴史学者」と答えた。
なぜ、ニンゲンはニンゲンにこんなことができるのか、できたのか。
それをさせた戦争ってなんなのか。
このちっちゃな男の子が、神さまのお使いのように見えてくる。
若い人たちもいる。
その中の女性。
「私、日中韓で仲良くしようよっていう映像とか流してるんですけど、批判がすごくて」
それぞれの国の若者が踊ったり、唄ったりの映像。
「汚い言葉をたくさん書かれて哀しくなっちゃう」
スマホには死ねとか、国賊とか、めちゃくちゃな言葉が並んでいる。
仲良くしようというと攻撃される。
こういう国になってしまった。
原爆ドームは、ただそこに立っている。
でも、そこに行くと見えるものがある。
思わず背筋を伸ばして思うことが、必ずある。