「歌謡コンサート」で「広い河の岸辺」を唄う。
ケーナ、アルパ、ピアノ、合唱といたってシンプル。
リハーサルからなかなかテンポがさだまらない。
あまり遅くても、早くてもダメ。
メトロノームで101くらいが良い。
99でも103なんてまったくダメ。
このあたりの目盛り一つは大きい。
ということが、わかった。
いつもなら、三原さん率いる楽団におまかせ。
三原さんは耳元でクリックを出して、タクトを振る。
だから、CD音源そのままの再生ができる。
「広い河の岸辺」は、もともとがクリックなし。
だからテンポが揺れている。
それを生演奏すると、また「揺れる」。
生き物なんだなあ、音楽って。
わかってたことだけど、忘れてたことのよう。
ケーナの八木さんから、日本語詞を乗せたこの歌を送られてきたのが昨年秋。
揺れたのはテンポだけじゃない。
好きな歌として、細々とライブで唄っていこうと思っていた。
それが、CD化を決めて。
揺れに揺れた。
地味な歌だもの。
シンプルな歌詞だもの。
「この歌を教科書に載せるのが、最終目標です」
ディレクターのクボヅカさんはいう。
「この歌、ぜったい良いです」
会議で言い切ったNHK担当のハラダさん。
コロムビアスタッフの熱い思いに、助けられる。
これから、この歌がどれだけ受け入れられるのか。
まったくわからない。
でも、船は漕ぎ出しました。
小舟ですけど。
何とかこの広い河を渡りたいと思います。